年々増える社会保険料の増加や上がらない給料の波を受けて、個人事業主として開業しようと思っている人は年々増えています。
しかし、いざ個人事業主として活動しようとすると迷う事が沢山出てきます。
その中のひとつにあるのが確定申告の申告方法。
年々の申告には、青色申告か白色申告を決めなければいけません。
青色申告による申告はオトクである事は知っているけど、いったい何がオトクなの!?
という方の為に、青色申告による7つのメリットを解説していきます。
もくじ
青色申告による7つのメリット
①最大65万円の控除が受けられる
この控除は青色申告特別控除といって、所得金額から最大で65万円の控除を受ける事ができます。
(所得金額についてはこちらで詳しく解説しています:所得と控除とは?)
65万円控除してくれるというのは、青色申告によって65万円分の経費を使っていると同じ事です。
例えば、仮に税理士さんに青色申告の作成を依頼したとしても、10万円~20万円ぐらいが相場と言われているので全然ペイできてしまうという事ですね。
青色申告を受けるメリットはこの青色申告特別控除が一役買っているのは間違いありません。
②赤字を3年間に渡って繰り越す事ができる
所得税は最終的に残った金額(=利益)に対してかかります。
赤字の時どうなのでしょうか。所得税は支払う必要があるのでしょうか。
この場合は、所得税を支払う必要はありません。
でも、これは白色申告の場合です。青色申告の場合はそれだけではありません。
青色申告をしていた場合、赤字になっても所得税がかからないどころか、今後3年間のどこかで黒字になった時に、赤字だった分を指し引いて最終的に残った金額(=利益)とみなしてくれます。
③家族の給料を全額経費にする事ができる
事業を手伝ってくれる家族の方がいれば、支払った給料を経費にする事ができます。
ただし、ただ単に青色申告にすればよいという訳ではなく条件があります。
①青色申告者と生計を一にしてる配偶者か親族であること。
※同じ家に住んでいる、別居であっても生活費が一緒でないといけません。
②その年の12月31日時点で年齢が15歳以上であること。
③年間を通じて6ヶ月を超える期間、その事業にもっぱら従事していること。
このような人は「青色事業専従者」といって、本来は経費にできない配偶者の給料を経費として扱う事が認められています。
④30万円までの固定資産は一括で経費にできる
10万円以上のパソコン、車、仕事道具(=固定資産といいます)は会計上のルールで減価償却を行う事が定められています。
減価償却は簡単に言うと、購入経費を分割して年毎で少しずつ経費にしますよと言う処理です。
そのため、固定資産の購入経費はその年で一度に経費にする事はできません。
ところが、青色申告の場合は30万円の固定資産ならその年で一気に経費にする事が許されています。
また普通に償却する事も可能ですので、会計の選択肢が広がり自分の出したい利益の数値に近づけやすくなるというメリットもあります。
⑤貸倒引当金を設定できる
貸倒とは、得意先の売掛金が倒産などによって回収できなくなる事を言います。
青色申告では、年末時点での売掛金の5.5%を貸倒引当金として経費にする事ができます。
年末の時に取引先の売掛金が全部で100万円あった場合、55,000円を経費できるという事です。
ちなみに取引先が倒産せず貸倒引当金が使わずに済んだ場合、翌年に貸倒引当金戻入として経費分を相殺し、今期分の貸倒引当金を設定します。
⑥推計課税されない
これは、青色申告による副次的なメリットです。
推計課税とは税務署が「大体これ位ではないか?」と推測で売上や利益を決める事です。
どいう事かと言うと、どんぶり勘定や売上をごまかすような事業をしている個人事業主は、売上や仕入の帳簿もないという場合が多く、結果として税務署に目を付けられてしまいます。
このような個人事業主は、他の個人情報主の売上や事業規模、従業員の有無から推計して売上や利益を決め、課税を行う事があります。これを推計課税いいます。
が、こういったことを防ぐために青色申告では「複式簿記」で帳簿の作成を行う事を定めているので、青色申告をしていればこの様な事はおきない…という事です。
⑦自宅兼オフィスなら按分する事が可能
自宅の一部をオフィスにしている場合は、家賃や光熱費を按分する事ができます。
按分とは、合理的な基準に基づいて事業にかかった部分だけに経費を分けることです。
一般的には3から4割と言われていますが、説明ができれば5割程度までは許容範囲と言われています。
仮に、家賃が10万円の内3割を按分して事業用とします。
一ヶ月で33,000円、12か月で396,000円を経費算入する事ができます。
これだけの経費算入をする事ができるので青色申告を選択する意味は大きいかもしれません。
ちなみに、白色申告の場合は事業用と説明できるスペースが5割以上でないと経費算入する事ができません。
まとめ
①最大65万円の控除が受けられる
②赤字を3年間に渡って繰り越す事ができる
③家族の給料を全額経費にする事ができる
④30万円までの固定資産は一括で経費にできる
⑤貸倒引当金を設定できる
⑥推計課税されない
⑦自宅兼オフィスであれば按分する事が可能