・収入と所得って何?その違いについて知りたい方
・損益通算について知りたい方
サラリーマンの主な所得は給与所得と呼ばれるものです。
給与所得は数ある所得の中の1種類のものに過ぎません。
例えば、プログラマーやイラストレーターなどいわゆるフリーランスと呼ばれるの人達は、業務委託契約というものを結んで仕事をしています。
この場合は、サラリーマンでいう給与所得ではなく、事業所得に該当します。
さらに面白いことに、給与所得や事業所得は単に呼び方が違うのではなくて、税金の計算の仕方も変わってきます。
お金を稼ぐという点では同じなのですが、税金の扱いに対してははっきりとした違いがあるので、この点について説明していきます。
もくじ
所得の呼び方が違う
まず、所得の扱いが異なります。
サラリーマンは給与所得
フリーランス(個人事業主)は事業所得
※給与所得は派遣やアルバイトも含みます。
所得の呼び方が違う事が分からないと、混同してしまいがちなので必ず覚えましょう。
そして、給与所得は税金面では何故か不利な立場を強いられています。
サラリーマンのデメリットの1つは収入をコントロールする事が出来ない事です。
どんなに頑張った所で翌月の給料が倍になる…という事はありませんよね。
この様な中でも、月々の給料からは税金や社会保険料を天引きされ、残ったお金で生活しないといけません。
逆にメリットと言えば時間を差し出す事で毎月生活できる分だけのお金をもらえる事です。
毎日出勤して、上司の指示に従えばお金がもらえる…
ですので多少理不尽な中でも働ければ収入は手に入れられるため、自転車操業のように働く状況となります。
税金かかり方と用語の解説
税金は課税所得の金額から計算されます。
課税所得の出し方は、
となります。
収入は税金を引かれる前の金額です。
いわゆる年収の事です。また、会社で言うと売上にあたります。
収入には10種類程度あり、それぞれ分類することができます。
ただ収入の意味合いとしては、サラリーマンやフリーランスであっても殆ど違いはありません。
所得を計算する時は収入の種類によって変わります。
この時計算に使われるのが控除です。
控除というのは、差し引くことを意味しています。
控除にも約10種類ほどがあり、課税所得を減らす事で税金が安くなります。
給与所得による課税所得の計算方法
収入から給与所得控除を差し引く = 所得
所得から各控除を差し引く = 課税所得
給与所得控除とはサラリーマンの必要な経費であろう金額を概算で差引きする控除です。
差引く金額は収入によって決まります。
計算式がありますが、大体収入の3割の額を差引いてくれます。
これが所得であり、源泉徴収に記載されている「給与所得控除後の金額」になります。
さらに所得から各控除を差引いた金額が、課税所得と呼ばれるものになります。
税金(所得税)はこの課税所得に対してがかかるので、課税所得が少なければ税金の額は下がり、多ければ支払う税金は増えます。
フリーランスは課税所得の出し方が違う
対して、フリーランスの課税所得の出し方はこの様になっています。
フリーランスの収入は、事業所得に該当するのでサラリーマンとは少し違います。
収入から経費を差し引く = 所得
所得から各控除を差し引く = 課税所得
サラリーマンにあたる給与所得控除の代わりに、経費を差し引いて所得を計算します。
経費は収入を得る為に使用したお金です。
経費の額は、給与所得控除の様に収入によって一律に決められていません。
つまり、「経費をいくらつかうのか?」という部分は事業主の方に委ねられている為、たとえ同じ収入額でも所得の額が変わるという事が起こります。
サラリーマンは給与所得控除により、無条件で約3割の控除を受けられるのに対し、フリーランスは、自分で経費を計上して領収書や帳票を揃えないといけません。
ただし、フリーランスには、給与所得控除に代わる青色申告の特別控除(65万円)がありますので、サラリーマンが特別有利という訳でもありません。
・給与所得は無条件で約3割の控除がある(給与所得控除)。ただし、控除の額をコントロールすることは不可能。
・事業所得は経費となるものに対して領収書や帳票をつければ、経費+青色申告の特別控除(65万円)を収入から差引くことが出来る。
給与所得と事業所得は損益通算が可能
特筆すべき事は、この2つの所得は損益通算ができる点です。
損益通算とは、一方の所得がマイナス(赤字)だったときはプラスの所得と併せる事ができる制度です。
給与所得はプラスしかないので、事業所得でマイナスだった時はその分を相殺してくれます。
例えば、
・給与所得が300万円
・事業所得がマイナス300万円
⇒合わせると課税所得が0円になるので所得税は発生しません。
確定申告をすることで還付になります。
もし、本業以外で安定した事業の副収入がある場合、事業を赤字にする事で給与所得から発生していた所得税を減らす事ができます。
損益通算できる所得は、不動産の売買による所得(不動産所得)や株式の譲渡による所得(譲渡所得)が含まれます。
税金の事を知っている人は、確定申告の時にこの損益通算を利用して、本来税金として取られていた分を合法的に取り返す事でお金が残る様にしています。
副業が流行っているのは、この様な税金面でもやり方次第で節税ができるという所もあるのではないのでしょうか。
まとめ
・課税所得は、所得によって出し方が違う。
・所得の種類によっては損益通算できるものもある。税金の事を知っている人はこれを利用して自分の手元に残るお金を増やしている